2013年04月03日

「連載漫画って勝手に公開していいの?」――権利のお話

アイコン_文車妖妃今回の独自連載を始めるにあたって「連載してた漫画って、勝手に公開していいの?」というような、疑問のお声をちらほらお聞きしました。

そこで今回のエントリーでは、『あにめたまえ!天声の巫女』作品の権利関係を簡単にご紹介しちゃおうと思います。もちろんRebisは法律の専門家ではございませんので、業界の端っこにいる者から見た素人説明であることをご了承ください。
(ご指導や補足など歓迎いたします!)


■まず、原稿そのものの権利について――


漫画原稿の権利は著者である漫画家に属し、雑誌に掲載しても出版社に権利が移ることはありません。
そのため、出版契約等を結ぶ前に権利を引き上げた『あにめたまえ!天声の巫女』の場合、問題なく自分で原稿を使っていくことができます。

漫画業界では、雑誌連載にあたっても契約書を交わさないことが多く、単行本化にあたって初めて出版契約書を作ることもしばしばと聞きます。

今回のコンプエース連載でも、連載にあたっての契約書はありません。
単行本化――にまで至らなかったので仔細は分かりませんが、おそらくその際に出版契約を結ぶことになったのではないでしょうか。
(以前Rebisが成人向け漫画で単行本を出させていただいた際には、出版契約書を取り交わしました。細かい文面の調整などにも応じて下さり、大変良い経験になりました)

連載の時点で、「雑誌掲載に関する執筆契約書」を交わそう……という動きは、佐藤秀峰先生がしていらっしゃいますね。

http://togetter.com/li/150109

いずれ、契約書を交わすのが一般的になる時代も来るかもしれません。
今回の僕の行動については、契約書を交わさない慣例ゆえに出来たことでもあるので、なかなか自分の意見は主張しづらいところです…!


■写植について

漫画原稿そのものの権利は漫画家にありますが、入稿後、原稿のセリフ部分には「写植」が打たれます。
写植については出版社が指定や発注をしているので、漫画家が原稿引き上げ後に自由に使うことはできません。(たぶん……)

では、セリフの写植はどうすればいいのでしょうか?

実は、意外と簡単なことです。

anitama01_05マンガ制作のデジタル化が進むにつれ、多くの作家さんは、自分で写植に似た文字を打ち込むことができるようになっています。

Rebisの『あにめたまえ!天声の巫女』の場合でも……
原稿データにはセリフがフォントとして打ち込まれています。
それを担当さんが一度テキストファイルに起こし、写植指定を出す……という行程が踏まれていたようです。
(実際に見ていたわけではありませんが、やり取りの中から推測したものです。また、もしかして出版社ごとに流れの差はあるかもしれません)

原稿データには、もともと印刷に耐えうる文字が載っていますので……
これを調整すれば、自分で公開するためのデータが完成です。
ただ、出版に使われるフォントには高価なものなども多いので、全く同じには再現できないのが難点かもしれませんね。

■ロゴについて

ロゴの権利についてだけは、『あにめたまえ!天声の巫女』では特別なやり取りが行われています。
ご存知の方もいる通り、雑誌掲載時と同じタイトルロゴが使われているのです!

logo_300pix

ロゴは出版社がデザイナーさんに発注して作成してもらいますので、漫画家に権利はありません。
しかし――
今回は角川書店側と相談のうえ
「ロゴの権利については、一度角川書店側で放棄する。
 その後、Rebisがデザイナーさんから許諾をいただき、作品で使い続けることができるようにする」
という、特例的な措置をしていただきました。

連載を共にした愛着のあるロゴでしたので、角川書店さんにもデザイナーさんにも、大変に感謝しております。
ありがとうございます!



というわけで、ひとまず簡単に、連載漫画の権利に関するお話でした。
『あにめたまえ!天声の巫女』の独自連載が、権利を侵害することはしていない…というご説明にもなっていれば幸いです!


この記事へのコメント

1. Posted by 釈迦に説法みたいで恐縮ですが   2013年04月03日 02:19
大量のフォントの中から営利目的や不特定多数への公開目的で使用許諾の取れるフォントを選ぶのって結構大変ですよね
2. Posted by Rebis   2013年04月03日 05:01
>釈迦に説法みたいで恐縮ですがさん
コメントありがとうございます。
そうですね、無料オリジナルフォントということで喜んでダウンロードさせていただこうとしたら、規約を拝見して諦める…という経験もございます。
3. Posted by 三   2013年04月03日 17:48
すいません質問があります
自分も以前連載を持っていたことがある人間ですが打ち切りになり漫画とはまったく関係のない企業に就職しました
自分ではもっと続けたいという意思はあったのですが金銭的な面からそれは不可能でした
それで今回のWEB公開ということですが個人で漫画を描いて無料公開をするのであれば金銭的な問題はどうするのでしょうか?ぜひ聞きたいです。よろしくお願いします
4. Posted by Rebis   2013年04月03日 23:04
>三さん
ご質問ありがとうございます!
原稿料なしで、果たしてやっていけるのか…? 今なら、何か別の形で原稿料に代わる収入を得られないだろうか? そんなお話を、一連のエントリーでお送りしております。
http://animetamae.ldblog.jp/archives/25051901.html
http://animetamae.ldblog.jp/archives/25133856.html
非常に難しい課題だとは思いますが、いろいろ探求してまいります!
5. Posted by @mamiwt   2013年04月04日 11:33
こんにちは、渡辺麻実と言います。東京工芸大学マンガ学科で「マンガと知的所有権」を担当しています。
「出版契約等を結ぶ前に権利を引き上げた『あにめたまえ!天声の巫女』の場合、問題なく自分で原稿を使っていくことができます」の辺りが少し気になったので、補足をさせていただきますね。
まず、雑誌連載では契約書をかわすことが少ないのはご指摘のとおりですが、「契約」がないわけではありません。「締切までに原稿をくださいね」「雑誌に掲載して、原稿料を払ってくださいね」という契約は存在します。
なので、作家が連載を途中でやめる場合、あくまでも最悪のケースですが、出版社から損害賠償請求される可能性もあります(ページの差し替えで印刷所に割増料金を払った、とか)。
Rebis先生の場合は、円満に出版社との雑誌掲載の契約を解除できた、と理解するべきじゃないかと思います。
いずれにせよ、先生の試みは興味深いです。応援しています!
6. Posted by Rebis   2013年04月04日 18:09
>渡辺麻美さん
コメントありがとうございます!
渡辺先生のおっしゃるとおり、口約束も何らかの契約になるのかな、という漠然とした理解はございました。ご指導くださり、嬉しいです。
今回の件につきましては、雑誌校了直前に土壇場で終了――等ではなく、あらかじめかなり余裕をもった状態で話し合いが済みました。
また、例えばロゴの件につきましても、契約書までは作っておらず…。口頭とメールの記録による、簡単な「契約」なのかな、という感じで理解しております。
また何かございましたら、ご指導賜れれば幸いです!
作品ともども、何卒よろしくお願いいたします。

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プロフィール
漫画・同人・イラスト・ゲームシナリオ…なんでもやる、野良の漫画家です! 雑誌連載から飛び出して、『あにめたまえ!天声の巫女』を一人で連載するのに挑戦中。お問い合わせ等がありましたら、rebis(あっとまーく)dec.sakura.ne.jpまでどうぞ。

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