妖怪知識・妖怪資料
2019年03月15日
異類女房の大型新人――お天道さあの嫁!!
昔話のタイトルは「お天道(てんど)さあの嫁」。「太陽女房」は、「○○女房」系の妖怪に含めたいな~ということで、Rebisが勝手につけた別称です。さてさて!
ある所に、神様も仏様も拝まないけれど、お天道さま――太陽だけは、ご飯を備えて拝むという男がおりました。
そんな男のところに突然やってきた、美しいお嫁さんは…なんとお天道さまの化身だったのです!
しかし…
平凡な男が絶世の美女をめとったことを知った殿様は、太陽女房を寝取ってしまおうと、男に無理難題を出します。
「灰の縄を千本持ってこい」「打たん太鼓の鳴いた鼓を持ってこい」といった難題を、太陽女房は知恵でクリアしていきます。
最後に殿様が出した難題は「きみょうぶし、というものを持ってこい」というもの。
太陽女房は「容易いことです」と言って「きみょうぶし」という箱を取り出します。
「これを殿様にお見せください。でも「ぶし、というのはどこじゃ?」と聞かれたら「そのようなものお見せしなくても良いではないですか」とだけ答えてくださいね」
さて、謎の「きみょうぶし」を見た殿様は、やっぱり「ぶし、というのはどこじゃ?」と聞いてきます。男は「そのようなもの、お見せしなくても良いではないですか」と答えますが…殿様は無理強いして、箱を開けさせてしまいます。すると!
箱の中に大量に入っているのは、小さな武士たち!(原文は”細んか男ん衆が刀を持っちょっせえ、仰山はいちょっせえ”)
その「ぶし」たちはぞろぞろと箱から出てくると、殿様とその家来や客を、すべて斬り殺してしまったのでした!
めでたしめでた…めでたい…か…? いや、可愛いお嫁さんが権力者に寝取られなかったわけだから、一応めでたしめでたし!
――と、そんな話なのでした。
突然の暴力と惨劇!
神様が起こす祟り的と申しましょうか…普通の異類女房よりも、畏怖すべき側面を持っている「お天道さあの嫁」なのでした。
ご存知のとおり(?)、Rebisはミニチュアの兵士を塗って遊ぶのを趣味としております。
いや、もう個人的には「きみょうぶし」が、そういうミニチュアにしか思えなくて…
『あにめたまえ!』における「きみょうぶし」は、ミニチュアゲームっぽいデザインにしてみました!
クリエイター支援サイト「Fantia」では、『あにめたまえ!』連載をご支援下さる方向けに、追加のグラビアもお届けしております! 太陽女房の場合は、ビキニ差分や、もっとおっぱい&お尻が大きな超ムチムチ差分などです~。
ご興味あれば、チェックしてみてくださいね!
https://fantia.jp/posts/136151
[参考文献]
『南日本の民俗文化誌1 鹿児島昔話集』(下野敏見 2009 南方新社)
2016年01月05日
謹賀新年! 今年の年賀イラストは…”ゴリラ女房”!
新春プレゼント企画「あにめたまえの初詣」沢山のご応募ありがとうございました。
すでにTwitterで当選者は発表させていただき、ただいま発送準備中です!
まだ松が取れていないお正月ですので…
本日は年賀イラストをお届けします!
申年ということでサルにちなんだ妖怪がいいですよね……
沢山候補はありますが…
ここは、そう! 以前ブログでもご紹介したこの妖怪娘でいきましょう。
「ゴリラ女房」です!!
ゴリラ女房…って…なに!?
以前こちらでご紹介していますが、改めて転載しましょう!
早斬が勉強している妖怪は――ゴリラ女房!?
実はこれ、『儀間の民話』(昭和58/読立村立歴史民族資料館)という本に登場する、
異種婚姻端(人間以外の動物と結婚するはなし)の妖怪(?)です。
島々を探検していた若者たちの1人がゴリラにつかまり
ゴリラたちと暮らすうちに、あるゴリラと同棲関係になり――妊娠までさせてしまいます。
しかし人間の世界が恋しい若者は、ボスゴリラに隠れてイカダを作り続けていたのでした。
イカダを作っていたのがバレてしまう若者!
赤子を抱きながら追いすがるゴリラ女房!
そして最後は……壮絶なことに!!(ちょっと書けない)
民話の中に出てくる幻想的な動物を「妖怪」と言い切っていいのかどうかは
難しいところですが、並んで出てくる「虎女房」「熊女房」「蛇女房」と合わせて
「南方女房妖怪四天王」と勝手に名づけたい気分です。
そんなゴリラ女房を、改めてキャラクター化してみました!
上記の昔ばなしに出てくる「赤子」が成長した…というイメージです。
嫁入り先を求めて人間社会にやってくるゴリラ女房……
なんだか事件が巻き起こりそうですね。
いつか『あにめたまえ!天声の巫女』本編に登場させたいです!
ちなみに――
『あにめたまえ!天声の巫女』の連載を継続的にご支援いただく、新しいパトロン型クラウドファンディング「Enty」というのを始めました。またのちほど、別のエントリで詳しくご説明したいと思っておりますが…
あにめたまえ!天声の巫女Entyの「妖怪講座」では、ゴリラ女房の話のオチまで詳しく解説しております。
ご興味のある方はどうぞ~!
そんなわけで、今年もレアすぎる妖怪知識とおっぱいと百合をいっぱい詰め込んで…
『あにめたまえ!天声の巫女』お送りしていきます。
どうかよろしくお願いいたします!
2014年06月11日
ハンツさん? テテクさん?
順調に日曜更新を続けておりますが、ブログの方では「日曜更新をしました!」と書くのをサボっておりました。
おおお~すみません!
ここのところ毎回2ページずつほど完成&更新しておりましたので、第八話も完成間近!です。
そんなお知らせだけではなんですので、今日はちょっとした話題を。
世界妖怪の中の一人「ハンツ=テテク」。
略称を作るとしたら「ハンツさん」と「テテクさん」どっちがオススメかな? なんて話です。
実はハンツ=テテクという名前のうち「ハンツ」の方は
日本語でいうと「お化け」に相当する言葉のようなのですね。
マレーシアには「ハンツ=リブト(嵐のお化け)」「ハンツ=プトゥン(包帯お化け)」「ハンツ=ガラー(伸び上がりお化け ※ほとんど日本の見上げ入道と同じ)」などなど、「ハンツ」を冠する妖怪がいっぱいいるのです。
というわけで、Rebis個人としましては――
「テテクさん」の方が、ちょっとオススメかも? なんて思うのでした。
今後別の「ハンツ=〇〇」が登場するかもしれませんしね!
2014年03月25日
出現!世界妖怪軍団(5) ハイエナ獣人ブルトゥンギン!
「世界妖怪軍団」の紹介記事シリーズ。
最後となる第五回は、ナイジェリアのハイエナ獣人 ブルトゥンギンです!
ブルトゥンギンもまた、ネットでその名前を知った妖怪。
なんとWikipediaの「Werehyena(ワーハイエナ)」の項でその名を見ることができます。
アフリカはチャド湖周辺のボルヌ帝国(現ナイジェリアなど)において、ハイエナに変身する人間のことをカネム語で「ブルトゥンギン」と呼びました。
その意味はまさにそのまま「私はハイエナに変身する」なのだとか。
村人全員がブルトゥンギンの村すらあったと伝えられ、例えばその名前として「Kabultiloa(カブルティロア?)」が挙げられています。
『あにめたまえ!天声の巫女』でのブルトゥンギンは、なんと文系少女として登場!
実はこれ、以前からRebisが「黒人娘の図書委員長みたいなキャラ描いてみたいな~」と、なんとなく思っていたためなんです。いまが好機だとばかり、『あにめたまえ!』のキャラデザで実行してみました。
ブルトゥンギン自体は、これまた資料の少ない妖怪ですが――
ハイエナという動物自体が、幻獣めいて、たくさんの伝説が残された存在です。
そこから使えるネタもあるかもしれませんね…!
一次資料は1920年と古いものですが、こちらもいずれ読んでみたいです。
心火と早斬に対峙し、凶暴さの片鱗を見せるブルトゥンギン――
その実力やいかに!? 今後の本編をお楽しみに!
2014年03月16日
いつか『あにめたまえ!』に出るかもしれない世界妖怪――アフリカ編!
『あにめたまえ!天声の巫女』漫画執筆や単行本作業の日々ですが――
たまには息抜きに、ラクガキ的なキャラデザインでもしたいなあ…ということで。
今日は「いつか『あにめたまえ!天声の巫女』に出るかもしれない」世界妖怪を描いてみました。
ちかごろ勉強に力を入れている、アフリカ方面の妖怪。
アササボンサン と ササボンサン です!
いずれも、アフリカの「吸血鬼」と表現されることもある妖怪。
そして名前が示す通り、非常に近縁関係(もしかすると同一?)の妖怪たちです。
アササボンサン(Asasabonsam)は、樹上に潜み、その長~い脚で人間を襲う妖怪。
足が鉄のフック状になっており、これで獲物を引っ掛けて樹上に引きあげてしまうのだと言います。
哀れな犠牲者は、アササボンサンの「鉄の牙」の餌食となってしまうでしょう!
ササボンサン(Sasabonsam)は、アササボンサンと同一視されることもあるようですが――
しばしば「アササボンサンとは違い、コウモリのような妖怪である」とも言われます。
樹上に潜むのは同じですが、角と翼を持ったコウモリ型吸血鬼なのだとか。
一説には20フィート(6m)の翼長を持つとも言います。
最初に書いたとおり、この2つの妖怪は非常に近い存在のようです。
アササボンサンが、そのフック状の脚で木からぶら下がっている絵も描かれていて…
その姿は、樹からぶらさがるコウモリのごとし。
現地で実際にどう考えられているのかは、手に入る資料の限りでは分かりませんが……
たとえば妖怪「磯女」がカニであったり蛇体であったり幽霊のようであったり…
「磯姫」などの異称があったりするように…
アササボンサンとササボンサンも、1つの妖怪が見せる別の層なのかもしれませんね。
(ちなみに「アサンボサム(Asanbosam)」などの別称もあります。複雑!)
『あにめたまえ!天声の巫女』版では――
それぞれキャラ性をわかりやすく、別種の妖怪として解釈してみました。
いつか心火と早斬に挑戦する日が来る…かもしれません!